7月2日 「土砂ダムは県内にも? 土砂崩れの危険性は」
岩手・宮城内陸地震は、山を丸ごと崩壊させる大きな破壊力を見せつけました。同じような大きな地滑りは県内でも起こりうるとみられ、その危険性が指摘されています。
岩手宮城内陸地震では、大規模な地すべりが起きました。国土地理院によると、水平方向に300メートル、最大落差148メートルの地すべりでした。流れ出た土砂の量は東京ドーム60個分の7千万立方メートルとみられています。
地滑りが起きた地域は、火山灰などの軽い噴出物がたい積していました。そこに地下水が混じり、地震によって液状化したのが原因とみられています。
静岡大学 理学部 狩野教授は「岩手の場合は火山灰層が積み重なっていて、それが押し固められていない、比較的やわらかい状態だったところでズルっていった。」といいます。
静岡でも大きな崩落が心配されるところがあります。南アルプスです。ここは、プレート型地震の震源に近い「たい積岩」山地だからです。長年、南アルプスの地質や地形の研究を続けてきた静岡大学の狩野教授は、断層帯が存在する可能性を指摘しています。
静岡大学 理学部 狩野教授は「富士川河口断層帯というのは、駿河トラフと呼ばれている東海地震の根元、巣とされているところですね。(身振り手振り 中略)そのまま延びてくれば、安倍川の地下のあたりまで延長される(延びている)可能性がある。」といいます。
安倍川上流にきています。下に見えるのは300年前の宝永地震で大きな地滑りが起きた大谷(おおや)崩れです。再び同じ崩壊が起きれば、大災害につながる危険性が指摘されています。
狩野教授によると、大谷崩れなど南アルプス周辺の山はスレートと呼ばれるもろい岩石でできていて、崩壊予備軍ともいえる場所が多く存在しています。
狩野教授が示した斜面は、くの字のように地層が入り乱れ、地滑りがいつ起きてもおかしくない場所でした。こうした場所はいたるところで確認できました。
宝永地震の時には、最大落差800メートルの地すべりが起き、およそ7キロ先まで崩壊した土砂が流れ下りました。岩手宮城内陸地震でできた土砂ダムと同じものが300年前に、ここにも存在していたのです。
土石流や土砂ダムの水が引いた後に、残ったたい積物が平地となり「新田地区」ができました。また、大谷崩れのすぐ西側にあり、畑薙ダム近くの赤崩も再び崩壊した場合の大井川への影響が心配されています。
静岡大学 理学部 狩野教授は「崩壊地が崩れると直下の川をせき止めて、ダム湖を造る。何箇所かで出てくる。また一度止まったものが、また流れ出してきて下流の畑薙ダムを埋め尽くすということがあります。」といいます。
南アルプス周辺は地層がもろく、地すべりの危険性が常につきまとっています。そこで断層が動いた場合にどうなるのか。岩手宮城内陸地震を本当の意味での教訓にするには静岡に置き換えた場合の徹底した調査が必要です。