2006年9月15日 玄米食専用品種のカミアカリ
9月15日(金)の「トレンドの芽」では、藤枝で生まれた米の新品種。それも、これまでなかったカテゴリーの「玄米食専用品種・カミアカリ」を取上げました。ここでは、放送に盛り込むことが出来なかったエピソードを中心に、お伝えしましょう。
藤枝市の米農家・松下明弘さんは、8年前の秋、手掛ける何枚もの田んぼの稲刈りの順番を決めようと、稲の枯れ具合(熟成度合い)を見ていました。
そして、もう少しでトラックに乗って家に帰ろうかというところで、ふと足が止まり、5メートルほど田んぼに入ってみると、薄黄色と黄金色のツートンカラーになっている籾を見つけたのです。それが「カミアカリ物語」のファーストシーン。
ツートンカラーになっていたのは、それが自然に発生した突然変異の巨大胚芽米だったので、胚芽の部分が籾殻の上からも、目立って白かったからです。これを選抜し、特徴を安定させるところまで育てて、松下さんは、この秋初めて「カミアカリ」本格発売するところまでこぎつけました。農家個人が新品種の開発に成功したというのは、全国的に見てもほとんど例がないことだそうです。
米の胚芽には、今注目の栄養素「ギャバ」が含まれています。「ギャバ」には高血圧・高コレステロールを低下させる働きに加えて、最近、ストレスを軽減する効果があることが分かってきました。「胚芽が大きければ、ギャバも多く含まれることが期待出来る。」と答えて下さったのは、静岡県立大大学院栄養化学研究室の横越英彦教授です。
横越教授は「ギャバ」のイライラ抑制効果を強調した江崎グリコのチョコレートを開発した中心人物ですが、「日常的に食べるご飯でギャバを摂取できるというのはいいことですね」と話していました。
それにしても、松下さんがツートンの籾を見つけた場面は「神に導かれたような」感じがしますね。(勿論、松下さんが長年稲作に心血を注いできたことで培われた観察力というのも、最初の籾の発見の要因の一つにはなっていますけれど…)だから、米の名前には「カミ」がついているのです。「アカリ」は、松下明弘さんの「明」の字からとりました。
今年唯一「カミアカリ」を販売する、静岡市葵区の安東米店の店主・長坂潔暁さんがつけた名前です。「唯一」というのは、まだまだ生産量が少ないからです。9月14日、つまり放送の前日に、稲刈りを済ませたそうですが、今年の収穫量は全部で400キロ弱ではないかということです。
「玄米で食べる米なら、なおさら有機栽培を」と、松下さんと同じような考え方が出来る農家が増えて、「カミアカリ」がポピュラーになる日を待ちましょう。