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2006年11月23日 飛べなくなった人


 

JR静岡駅から国道1号線を渡ったところにある駿府博物館で開かれている石田徹也さんの遺作展を取材し、石田さんの両親にもインタビューしました。

 

焼津市出身で去年31歳の若さで亡くなった画家、石田徹也さんの代表作「飛べなくなった人」はおもちゃの飛行機と一体となった背広姿の男性が飛行機の前から顔を出し、頭にはプロペラをつけているというもの。

 

「燃料補給のような食事」は、ある牛丼チェーン店と似たコスチュームの店員がガソリン給油ノズルのようなもので、カウンターの客の口に何かを流し込んでいるという絵です。

 

例えば長州小力がボーリングのピンの着ぐるみをつけているとファニーなように、人が物体化している違和感というのは、おかしみに繋がります。

 

また、後者の作品では「ファストフードをユニークに切り取ったなァ」という印象を、僕は最初に持ちました。でも、もう少し作品を見つめて、本格的に笑おうとすると、顔が引き攣ってしまいます。描かれている人の眼が虚ろで「こわい」のです。

 

笑わせるための絵なら、「飛べなくなった人」の顔は自慢気だったり、泣きそうだったりのはずです。自慢気なら『自由であると、人は錯覚しているだけ』。泣きそうなら『自由であるために払う犠牲はこんなに大きい』というメッセージに読み取れるのですが、人が身体的に拘束されているところが描かれているにもかかわらず、その表情には反応が現われていません。自由とか被支配ということについて、とても考えが及んでいないように思える。もっと踏み込んでいえば考える能力を取り除かれたような、無気力・鈍感に育てられたような、「自由に」なんて思いを廻らすことにも疲れ果てたような、そんな表情に見えるのです。

 

産業社会の非人間性というのは、チャップリンの時代から、皮肉を込めて描かれてきたテーマです。しかし、石田さんの絵の場合、シニカルというラインを突き抜けている。笑おうとした者を凍らせる作品だと感じました。

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