2006年12月5日 盲導犬との共生
かつてオウム真理教があったところに建設されたことでも注目された、富士宮市の日本盲導犬総合センターから第1号の盲導犬が巣立とうとしているというリポートをお送りしました。
まもなく盲導犬になる四匹のうち、ウーベという名前の3歳のオスをクローズアップしました。
ウーベのパートナーとなることが決まったのは、山梨県甲府市にお住まいの相吉さんです。
先日富士宮で2週間、ウーベと相吉さんは生活を共にし、訓練士も同行して市街地を歩く実地訓練をしましたが、その途中、訓練士と相吉さんの間で口論になる場面がありました。
盲導犬は、眼の不自由な人に段差があることを知らせるために、その前で止まるように訓練する必要があります。段差のことを「カーブ!」と言って犬に教え込むのですが、相吉さんがかなり手前から「カーブ。カーブ」とウーベに注意を促すのに対して、訓練士は「あまり手前から『カーブ』と言うと『段差のないところで何故、カーブと言われたのだろう』と犬は混乱する」という意味の指摘をしました。
すると小さいころに視力を失った相吉さんは「それは見えている人と見えないものとの感覚の違いだ。直前で『カーブ!』と言って、最初からビタッと止まれるはずがない」と声を荒げたのです。
段差に気づかずに転んだり、段差で一旦停止できなくて、車の通行を確認できないまま車道に歩いていってしまったりで、危ない思いを少なからずしている相吉さんは、より慎重な方向での犬への教育を求めるでしょうし、したがるでしょう。
また、相吉さんにとって、ウーベは2代目の盲導犬です。引退した、いわば「先代」との関係や、「先代」のクセなどを思い出しながら、訓練の中で苛立ちを見せたのだと思います。
日本盲導犬総合センターは、盲導犬の繁殖から養成、引退後のケアまでをトータルに扱うところですが、犬を中心に考えるだけでなく、それを使う人、育てる人への教育・ノウハウを追求していくところです。
最も大きく言えば、眼の不自由な人のもっと多くが盲導犬と共に暮らし、その状況を社会全体で包み込めるような文化を作る拠点になっていって欲しいと考えています。