2008年3月11日 「はりの国内トップ企業が静岡に」
3月11日(火)今月のシリーズ企画「ものづくり静岡 スゴイ企業」の2回目で、静岡市清水区にある「セイリン」という会社を取上げました。「セイリン」って何の会社か分かりますか?
実は鍼治療用の鍼の国内シェア約50%を誇るトップメーカーなのですが、鍼に携わる人以外の知名度は低く、地元と言える清水駅前銀座商店街で買物客や商店の人4人に聞いたところ、誰もこの会社のことを知りませんでした。街頭インタビューを終えたところで声を掛けてきてくれた陶器屋さんに今回の取材先について伝えたところ、その方はご存知でしたが・・・。「セイリン」という名前から何の会社なのかを考えてくれた人もいましたが、ギブアップ。それもそのはず「セイリン」というネーミングと「鍼」の関係はないのです。
「セイリン」の「セイ」は静岡・清水「静清」の「セイ」。「リン」は創業者で現会長の鈴木毅氏の名前の一部「鈴」の音読みというわけです。鈴木会長は30年前まで、医療機器メーカーのテルモに務めていました。そのテルモの下請けのプラスチック成形の工場が、清水区袖師町にあったのですが「工場を買い取って経営を立て直して欲しい」という話があり、鈴木氏は脱サラ・起業しました。
鍼治療用の鍼を作りはじめたきっかけは、鈴木会長の遠縁の方が鍼灸師で、鍼の品質の低さを嘆いているのを聞いたこと。それまで、鈴木会長は全く鍼灸のことは知らなかったそうですが、調べていくと既にテルモで1回きり使用の使い捨て注射針を作っていた鈴木氏にとって、鍼灸治療は、その当時衛生面で遅れているということが分かります。
同じ鍼を繰り返し使うのです。勿論、鍼のアルコール消毒などはしていましたが、鍼を打つ時、鍼を通して使う細い管=鍼管の内側というのはきれいにしにくいところなのに同じ物が使い続けられていました。
30年前の日本で、注射針は使い捨てが当たり前になってきていたのに、鍼灸鍼は繰り返しの使用が当然だった。この常識のギャップが、「セイリン」のディスポーザブル(使い捨て)鍼灸鍼が生まれるきっかけでした。
当初は、鍼灸界のその時代の常識を打ち破れずに全然売れなかったそうです。
需要が急激に伸びたのは、HIV感染の広がりが社会問題となった80年代半ばから、今では、使い捨てではない鍼を探すのが大変なくらいの状況だそうです。
静岡市駿河区の「つむら針灸サロン」でも取材しました。つむらさんは「セイリン」の鍼について「鋭いが、弾力があり滑らかで組織を傷つけないから痛くない」また、1本ずつ滅菌包装されているパッケージを開ける時にも「変な破れ方をしないから作業性がいい。鍼以前の部分でもちゃんと作られている」と評価していました。