沼津市の狩野川河口付近には、プレジャーボートなどが多数、無断で泊められています。これらの船を一掃しようと、先月、官民が参加した対策会議が発足しました。係留船問題は解決するのか、取材しました。
沼津市の狩野川です。河口付近には、県が去年10月に実施した調査で、190隻の船が無断で泊められていました。 河川には廃船とみられる船も放置されていました。
こうした現状を受けて、先月、港湾管理者の県と河川管理者の国、利用者団体などが「沼津地域水域利用推進調整会議」を発足させ、狩野川の河口周辺で問題になっていた、プレジャーボートなどの不法係留船対策に本格的に乗り出しました。
多くの船が無断で泊められてきたのには、理由がありました。狩野川にかかる永代橋から河口にかけては、国交省が管理する河川区域と県が管理する港湾区域が重なっています。黄色の部分が河川法と港湾法に基づき2重に管理されているわけです。流れを妨げるものを排除する河川法の考え方に対して、港の利用促進を図る港湾法の規定では、係留しても直ちに不法にはなりませんでした。 そこで、今後、調整会議の場で、重点撤去区域や放置禁止区域を設定し、国と県が不法係留船の撤去に乗り出す方針です。
河川管理者の国交省はこれまで、係留船に対して、手をこまねいていたわけではありません。週に数回河川のパトロールをし、撤去をよびかけてきました。
こちらの河川にはいたるところに警告文がはってあります。この桟橋に貼ってあるの警告文ですが、この33という数字は、33回貼ったという意味です。
それにしてもなぜ、河口に泊めるのでしょうか。
30人ほどの会員を抱えるプレジャーボートのオーナーのクラブの方にお話を伺いました。
このほか、川は真水なのでメンテナンスが楽で、船が長持ちする、船が大きく陸揚げが困難、などを係留する理由に挙げています。
これに対して国交省は、「狩野川は係留をするような余裕がある河川ではない、ということで、流れに対して係留の場所を設けることはできない」「緊急性は高い。河口部では水が出たときに、船が転覆してしまうとか、それが流れて下流の水門、ゲートに引っかかってしまう。そうするとゲートが閉まらなくなってしまう」「次のステップとして強制的に排除させる行政代執行法という法律で、強制的に撤去するという形になる」とコメントしました。
係留船対策の強化に困惑しているのが、狩野川河口にある我入道漁協です。正規会員だけでおよそ40隻の船があるといいます。
こちらは物揚場と呼ばれる県の施設で、たくさんの船が泊まっていますが、これらも河川法で認められているわけではありません。しかし、船体に「SO」のナンバーがある船は、県が港湾法にのっとり係留を許可した漁船です。また、昔から狩野川の河口には、船着場があった経緯もあります。
我入道漁協の正規会員の方に聞いてみたところ、「(数年前から)国交省のほうから何月何日までに(漁船を)撤去しなさいと、封書でね」「あなたの船は(係留の)許可はないよという内容なんですね。期限は切れてしまいました。移動する場所もないし…。 昔からここは漁港でしたからね、だから漁業者に対しては許可してもらいたいですね」と悩みを語りました。
我入道にある、観光客に人気の沼津市の渡し船も、漁船と同様、県の許可を受けていますが、国交省の調査では、不法係留にカウントされてしまっています。土日祝日の運行自体に問題はありませんが、運休日も河川に係留していることが問題視されたようです。
国交省の方にこのことについて聞いてみたところ、「狩野川に、河口まですべて係留されている船は、河川法ではすべて不法扱いになります。 漁船については、今港湾法と河川法と重複してますので、港湾さんのほうで許可した漁船というのがありますので、それについては港湾管理者と別途協議してまいりたいと考えております」と答えました。
強制撤去を見据えた本格的な議論は始まったばかり。ふたつの法律とそれぞれの立場があり、問題の解決は簡単ではなさそうですが、プレジャーボートの係留に関しては、他のオーナーとの公平性の点からも、現状のままというわけにはいかなくなりそうです。