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6月13日 食を考える(2) 「変わる病院食」


今回は変わる病院食を取材しました。

入院中の食事、あまり良いイメージは持たれていないようです。しかし、聖隷三方原病院では、」さまざまな工夫で、患者の食欲をあげようと試みています。

 

病棟の厨房を覗いてみると、特徴的な調理法をしています。それは「真空低温調理法」。17年前から取り入れました。この調理法は、食材を真空にして、低温で調理します。



聖隷三方原病院の栄養科 石野 智子 科長はこの調理法のメリットを、酸素をカットするので、酸化されない食事を提供できると、話していました。

 

この調理法で、痴呆症などの老化を促進させる活性酸素の発生を抑えることや、低温で調理するため、ビタミンを多く残すなど、栄養素の損失を防ぐことが狙えます。

 

一般的な病院食は決められたメニューですが、三方原病院では、真空調理法により、調理したものの保存が可能になり、患者が自由にメニューを選べるようになりました。主食はご飯、おかゆ、パンなど5種類から選択でき、野菜デザートも、それぞれ数種類から選ぶアラカルト方式を取り入れています。

 

フルセレクトメニュー導入の背景には、患者の食欲低下がありました。ただ栄養を取り入れる食事から、楽しむ食事に変えたのです。

 

 

栄養士の今田 衣津美さんは、細かくて大変だが、患者が食べたいものを食べるのは良いことだと思う、と話していました。

 

 

もちろん栄養管理にも気を配っています。県内の総合病院では、栄養士が4~8人ですが、ここでは、栄養管理士と栄養士合わせて37人配置しています。

 

 

機能障害などで口から食べることが出来なくなった患者には、胃に栄養をチューブで流し込む流動食でしたが、三方原病院では、栄養の摂取をチューブなどに頼りたくないと、やわらかい食材を口から食べることができる、嚥下食の開発にも力を入れてきました。嚥下食の中には、ウナギのゼリーにムースのおかゆといったものがあります。

 

 

栄養科の石野科長は、患者さんたちが今まであきらめていた味を、嚥下食を通して楽しんでいただけるようになった、と話していました。

 

 


浜松市で二人暮らしをする杉本さん夫婦。9年前に交通事故に遭い、手足の機能が働かず、車椅子の生活を送る、妻のはま子さん。食べ物を飲み込む力が落ち、むせることから、三方原病院に嚥下食を取りに行きます。

 


口から食べられることについて、はま子さんは点滴は嫌で、この方がいいと感想を述べていました。また夫の光司さんは、病院で管からやってるのを見ると切ない、と語っていました。

 


今日もはま子さんは1日3食、残さずに食べました。

 


聖隷三方原病院の食事システムを築き上げ、現在は浜松大学で助教授として学生に教える金谷 節子さん。以前勤めていた病院で、患者の栄養状態を調べたところ、この食事システムにより、栄養状態の低い患者の割合が減ることと、入院日数が半分ほど短いことがわかりました。

 

 


浜松大学の金谷助教授は、栄養状態がいいと、患者の治療効果が高いと言える、と分析していました。

 


生きている実感、人間の尊厳を大切にしたいという姿勢が病院食をここまで変えました。

 


聖隷三方原病院の荻野 和功 院長は、できるなら口から食べる。それが尊厳につながると考えているそうです。

 

進む病院食の裏には、患者のことを第一に考える長年の積み重ねがありました。全国的にも進んだ、聖隷三方原病院の取り組みを見ると、より患者の立場に立った病院食に移っていきそうです。

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