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7月18日 終戦60年 語り継ぐ (3) 「朝鮮半島から日本に」


今回は「朝鮮人強制連行」です。戦争の激化と共に、若者が次々と出征していく中、国内の労働力は不足しました。そこで当時、植民地だった朝鮮半島から強制的に大勢の人が動員されました。県内にもあった、そんな歴史を振り返ります。

 

静岡市清水区在住の在日1世裵 周吉(ペ・ジュギル)さん。戦時中、仕事を求めて一家6人で清水にやって来ました。清水区三保にある日本軽金属の工場。この敷地内には、当時“飯場”と呼ばれる小屋が立ち、朝鮮人労働者が寝起きしていました。

 

裵さんは、朝鮮半島が日本の植民地だったため、朝鮮人がバカにされたり差別されたりで、その度に腹が立っていたが、みんな我慢してた、と当時を振り返っていました。

 

戦時中の清水港には、朝鮮との定期航路が周航。港の周辺には軍需工場が建設され、数千人の朝鮮人労働者が徴用されました。

 

 

裵さんによりますと、労働者の中には、強制連行された人もいて、街中を歩いている人間を引っ張って来て、きつい仕事、汚い仕事、危険な仕事のほとんどを朝鮮人がやっていた、ということです。

 

戦時中の強制連行については、はっきりとした実態が分かっていません。しかし県内全体では、1万5千人近い朝鮮人が来ていたと言われています。

 

最近になって、ようやく公開された強制連行者の名簿。これは県が国に提出する目的で作った報告書です。過酷な労働のためか、逃亡者が後を絶たなかった様子が伺えます。

 

歴史研究家の小池 善之 さんは、最初は「募集」という形で、企業が朝鮮半島に行って、人を集めていたが、それでは埒が明かないということで、朝鮮総督府が人を集めてくる「官あっせん」という方式になり、それでも足りないっていうことで、「国民徴用令」という法律を出し、断ると罰則があるという形になった、と朝鮮人の強制連行について説明していただきました。

 

そんな戦時中の強制連行者の足跡を、中川根町に訪ねました。60年以上前の戦時中に朝鮮人労働者が建設した巨大なコンクリート製の水路橋です。数キロ先の発電所に水を運ぶ役割をしていて、現在も活躍しています。

 

この先にある久野脇発電所を含む、工事全体には、強制連行者1700人余りを含め、2000人ほどの朝鮮人を動員。中には、家族連れもいました。

 

当時、小学生だった中道 鉄夫 さん。同級生にも、朝鮮人がいた事を記憶しています。中道さんは、その当時、朝鮮人を半島人と言っていたそうです。

 

こうした朝鮮人の姿を、鮮明に写した写真が残っていました。撮影したのは、鈴木 貢さんの父親です。

 

鈴木 貢さんによりますと、当時は身近に朝鮮人がいて、仮の長屋のような“飯場”という建物を建て、そこで生活していたそうです。現場での作業は、トンネルを掘るために、ダイナマイトを7~8本いっぺんに使ったそうで、メタンガスが噴出して、爆発も起きるような危険な作業だったそうです。

 

過酷な労働の一方で、朝鮮人がよく口ずさんでいた歌があるといいます。「アリラン」の唄です。

 

そして、運命の日。8月15日を迎えました。この日を境に、朝鮮人は日本の植民地支配から解放されたのです。

 

戦後、強制連行された朝鮮人が帰国する一方、向こうに生活基盤がないために、残らざるを得ない人も大勢いました。清水区の裵さんも、その一人です。

 

裵さんにとって、8月15日は解放記念日で、気分が晴れやかになって、もう日本人にバカにされる材料はないと思ったそうです。

 

そんな歴史を象徴するように、ひっそりと建つ納骨堂。ここには戦時中、強制連行などで来日し、無縁仏となった朝鮮人の遺骨93人分が納められています。毎年、韓国民団と朝鮮総連が共同で追悼会を開いています。

 

韓国民団清水支部の具 龍書 支団長は、他国に、自分の意思でない立場で渡って来て、そして労働に服していた、と語りました。

 

朝鮮総連静岡県本部の超 貴連 顧問は、自分の生まれ故郷に帰りたいが、そういう事が出来る状態でなかったということがあり、この悲しみを繰り返してはならない、と語りました。

 

過去の悲しい出来事を背負った無言の遺骨。戦争体験者が少なくなる一方、数少ない歴史の証として語り継がれます。

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