今回は、人体実験や細菌戦で知られる、旧日本軍の731部隊についてです。菊川市に住む、元731部隊の95歳の男性が語る証言から、加害の歴史について考えます。
菊川市に住む、富原 貞次さん。第二次大戦中、ある特殊な部隊に属していました。それは731部隊です。
富原さんは、部隊でのことは、言わざる聞かざる見ざるで、やることを見ても、訊いても、自分でやったことも言ってはいけない、本当の秘密部隊だと語りました。
731部隊は、またの名を「関東軍防疫給水部」と言い、1930年代後半、中国東北部で生物兵器を開発・使用し、人体実験を行った部隊です。捕虜を「マルタ」と呼び、捕虜を生きたまま解剖をした731部隊は、細菌戦では、少なくとも10万人以上の命を奪ったといわれています。
静岡大学の森 正孝 非常勤講師によりますと、731部隊の石井部隊長は解散する時に、ここであった事実は棺桶まで持っていけと言ったそうです。
なぜ731部隊には秘密事項が多いのか。それは国際法でも禁止された最近兵器の使用や生体解剖という非人道的な行為があったからでした。細菌を人間の体に感染させ生きたまま解剖したり、マイナス20℃以下の環境で人為的に凍傷させ、新しい治療を開発するなど、残虐な行為が繰り返されました。
人体実験の施設は破壊、その資料は破棄され、歴史の真実は長い間、闇に葬り去られてきました。
富原さんは、70年も前のことだから忘れたこともあると語ります。
富原さんは28歳の時に、自ら731部隊へ入隊。軍医ではありませんでしたが、細菌の培養に関わり、「マルタ」と呼ばれていた捕虜の脈を取るなど身体検査を任されました。
密室で行われた人体実験だけにとどまらず、細菌爆弾の空中散布による実験も行われました。富原さんによりますと、細菌爆弾によって、多くの「マルタ」と呼ばれた人は亡くなり、生き残った人は身体検査をされた後、再び実験に使われたそうです。
森先生は、広島・長崎や空襲などといった被害の体験に比べ、731部隊など加害体験を語るのは勇気がいるが、中国の人たちに被害を与えたという事実を語り継ぐのは大切なことだと話していました。
部隊解散後、富原さんはビルマで伝染病の防疫に貢献し、その後、衛生検査技師として保健所に勤めました。