今回は、東海地震の予知、そのための観測にこの1年どのような動きがあったのかお伝えします。
ここ1年で大きい地震が日本列島で頻発しています。そして、気象庁の東海地震の観測でも気になる動きが出ています。一つは「GPS観測に妨害ノイズ」がかかったこと、もう一つは歪計が異常を検出したことです。
現在、最も注目されているデータは2種類あります。まず気象庁が静岡県を中心に21ヵ所設置している歪計のデータ、そして人工衛星から発信される電波を地上でとらえ、地形の微妙な動きを観測する国土地理院のGPS観測です。
東海地域は本来、北西方向に動いますが、GPSは2000年ごろからこの動きが鈍くなっていることをとらえました。
これは見方を変えると東海地域をのせたプレートが年に1~2センチというゆっくりしたペースですが、滑り出しているともみえます。
これが急激なすべりになることが、つまり東海地震です。
ところが去年9月、一つ目の気になることが起こりました。紀伊半島南東沖地震が起きてから、ノイズがかかるようになり、GPSがこの微妙な「ゆっくり滑り」の動きを拾えなくなり、肝心なデータがわからなくなってしまったのです。
東海地震判定会 溝上 恵 会長は、霧の中に入った感じで足元が定かでなく狼狽したが、9カ月して戻り、「ゆっくり滑り」が今までのように観測できていると話しています。
今年の3月くらいからノイズが薄れ、今現在は、欲しいデータがしっかり観測でき、また元のような動きが見えるようになったということです。
ところが7月に、今度はさらに緊迫する動きが見えました。
7月20日から23日にかけ、21ヵ所の歪計のうちの浜北、佐久間、蒲郡の歪計がそろって異常な動きをとらえました。
溝上会長によりますと、地下のある部分が自然現象として動いたことは、これまでなかったそうです。
幸い数日でデータは元に戻りましたが、あと3割動きが大きかったら、観測情報が出されるところでした。
実は同じ時期に、愛知県東部(蒲郡の北)で低周波地震が起きていて、今回観測された現象は、このあたりの固着域付近の地殻活動が原因ではないかということです。東海地震が、固着域が剥がれて起きてくることを考えると軽く受け流す話ではありません。
歪計というのは非常に差し迫った状況の地下の動きをとらえる装置です。ですから溝上会長はこの歪計の動きが見えたことをかなり重要視しています。その後の分析では、同様の現象が過去にも起きていたことがわかり、その周期から考えると今年の12月までにまた同様の動きがあるのではと溝上会長は見ています。
この動きが、いつか急激な加速を示すと東海地震につながる恐れもあるということで、東海地震の監視は新たな局面に入ってきたと言えるかもしれません。