災害時、避難の勧告や指示が、住民に伝わらない場合、命や財産にも危険が及ぶ恐れもあります。今回は、情報伝達の課題について検証します。
8月25日に県内に接近した台風11号。沼津市内では、狩野川に注ぐ水路の水が逆流し、一部浸水の被害も出ました。また、狩野川が氾濫する恐れもあるとして、沼津市は木瀬川地区の320世帯に避難勧告を出しました。
沼津市防災地震課の古谷 繁 課長は、寝ている方がいるかもしれないので、勧告の内容が住民の方に伝わっているか気にしたそうです。
この日、狩野川は危険水位を超え、沼津市の災害警備本部は午後10時半に避難勧告を出すことを決めました。勧告はどのように伝えられたのでしょうか。
警備本部は避難所の準備・職員の配置と並行しながら、該当する自治会に連絡をとり、避難を呼びかけました。そして、広報車5台で地区内を巡回して勧告の徹底を図りました。
木瀬川地区自治役員の杉山武夫さんと森岡 修さん。二人は、市から連絡を受け、すぐに行動を起こしました。杉山さんによりますと、市から避難勧告を伝達する指示を受けたので、町内の放送設備を利用して、住民に避難をお願いしたそうです。
この設備は、同報無線の地区版で、自治会内だけで放送するものです。被害が広範囲に及ぶ恐れがある場合、市は同報無線も使いますが、今回は地域が限定されたこともあり、町内放送を使いました。
市の広報車と町内放送、それに地元の消防団も自主的に避難を呼びかけており、避難勧告の伝達は、3つの手段で行なわれたことになります。
しかし念のため、杉山さんたちが直接、家を廻って確認したところ、気が付かなかった人もいたと言います。風向きによって町内放送が聞こえない地域と聞こえる地域があるためだそうです。
昔に比べれば地域の結びつきが弱まってきている今、災害情報の徹底は行政が抱える課題の一つです。そしてもう一つ忘れてはいけないことがあります。それは「情報の打ち返し」です。
沼津市の場合、災害時、職員は自宅から最寄の避難所に直行することが決められていて、実際、この台風でも近くの職員が避難所で対応に当たりました。
また、避難所には無線機が備えられていて、避難所がどんな様子か、本部と直接やり取りができるようになっています。
古谷課長によりますと、防災倉庫や無線機は住民のための施設だから、これからもどんどん災害時には活用していきたいと言います。
古谷課長は、勧告の空振りは考えず、住民の安全を第一に考えて、迅速に対応に当たっていきたい、と話していました。
杉山さんは、市からの指示を、的確に各町内へと伝える情報網が大事だと話していました。
もっとも重要なことは住民の安全と安心です。そのためには、自治体と住民が情報を共有することが必要となります。しかし、どんなに大切な情報であっても、どう扱うかは受け取った皆さん次第です。