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11月14日 医療と健康を考える (2) 「深刻!麻酔科医不足」


今回は、県内の病院で常勤の「麻酔科医」が足りなくなっている現状と背景を取り上げました。

 

毎年、8000人前後が医師の国家試験に合格します。その内、「麻酔科医」は、400人弱で、割合的には、「外科医」になる人の4分の1程度です。手術中の患者の全身管理は、「麻酔科医」にゆだねられていて、手術には欠かせない存在です。

 

浜松医科大学医学部麻酔・蘇生学講座の望月利昭 助手は麻酔科医のことを、飛行機のパイロットに例えられる様に、持続的に注意力を使う仕事だと言います。望月助手によると、学生で「麻酔科」を知るのは医学部に入ってからという人がほとんどなのだそうです。

 

「麻酔科医」が不足しています。県内では、多くの病院で、常勤の「麻酔科医」が足りない状態となっています。

 

SBSでは、県病院協会の協力を得て県内の病院にアンケートを実施しました。43の病院から回答があり、その7割近い病院が「麻酔科医」が足りないという回答でした。また、16の病院は常勤の「麻酔科医」がいない状況です。

 

浜松医科大学医学部麻酔・蘇生学講座の佐藤重仁 教授によりますと、常勤の「麻酔科医」がいないと、緊急手術の時に無理してでもよその病院に送らざるを得ないことや、外科の先生が無理してでもかける場合もあるそうです。

 

静岡市立清水病院では、おととし4月から2年半あまり常勤の「麻酔科医」がいない状態が続いています。提携する大学が「麻酔科医」を引き揚げてしまったのです。

 

静岡市立清水病院の重野幸次 院長は、術前の説明・チェック、術後のチェックなどを麻酔科の先生にやっていただきたいため、常勤がいることが望ましいと話しています。

 

地方の病院の「医師」不足の要因にもなっている、去年4月から始まった新しい「研修医制度」。

 

研修医はこれまで、専門の診療科に入り、その科のみで「臨床研修」をするケースが多くみられました。しかも「臨床研修」は、努力規定でした。

 

新しい制度では、例えば「麻酔科医」を目指す研修医も外科や内科、小児科、産婦人科など多くの科で合わせて2年間の「臨床研修」が必修となりました。これにより「研修医」が分散する事になり、大学本体の「医師」の数が減るといった状況が出て来たため、大学側が地方の病院に出している「医師」を引き揚げる様になったのです。

 

重野院長によりますと、かつては外科医の先生が麻酔をかけていた時代もあったため、専門医ではないが外科医の先生で対応していただけるので、休日、祝日、夜間も今のところ支障なく手術出来ているそうです。

 

静岡市立清水病院でも、常勤の「麻酔科医」を確保すべく大学への働きかけを続けていますが、すぐにという訳にはいきません。

 

重野院長は、大学と話をしていて近い将来、常勤の「麻酔科医」を送っていただける事になり、心待ちにしていると話しています。

 

しかし、麻酔科医の数が絶対的に不足しているのも事実です。

 

お年寄りが増えていることもあり、手術の件数は増加傾向にあり、「麻酔科医」の負担は年々増えています

 

静岡市葵区にある県立総合病院です。現在、常勤の「麻酔科医」が6人、研修医を含め13人ほどが麻酔を担当しています。この病院でも、手術数は、年々増えていて、去年は5600件あまりの手術が実施されました。

 

静岡県立総合病院麻酔科の横山順一郎 医長によりますと、全身麻酔以外も含め1年間で1人500件ほど担当し、手術中の患者のバイタルの維持は麻酔科医にかかっているため、麻酔科医が手を抜くと、命に関わってしまうと話していました。

 

手術には、「麻酔」が欠かせません。「外科医」でも対応出来ますが、やはり専門の「麻酔科医」が対応するに越した事はありません。

 

静岡県立総合病院の松田捷彦 副院長は、絶対事故を起こしてはいけないため、専門医にやってもらった方が、より安全であると言います。

 

麻酔科医」が足りない状況は、多くの病院が抱える問題といえます。また、すぐに状況が改善出来そうにないのが現状です。

 

浜松医科大学医学部の佐藤教授は、中長期的なスパンで考えないと、一朝一夕で麻酔科の医師が大丈夫ということにはならないと言います。

 

静岡市立清水病院の重野院長は、患者は手術したお医者に感謝されるが、麻酔医にはそれがなく、裏方的な存在となってしまっているので、もう少し認めるべきなのではと話していました。

 

県内での、常勤の「麻酔科医」が足りない現状は、すぐには解消出来そうにありません。「麻酔科医」を育てていく環境づくりも含め、対応が急がれています。

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