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11月21日 医療と健康を考える (3) 「小児心臓外科」


今回は、最先端医療の現場です。産まれたばかりの小さな命を救うため、日夜奮闘している、県立こども病院の小児心臓外科を取材しました。

 

富士市の北村夏海ちゃん。重い心臓病を抱えて、生まれて来ました。

 

出産直後、搬送されたのは静岡市の県立こども病院でした。生後12日目にして手術。あと2回程手術が必要ですが、母親の朝子さんは、その時の病院の対応が、時間を十分に取って、向き合ってもらえたので良かったと振り返ります。

 

今年4月、県立こども病院では、世界初の心臓バイパス手術に成功。

 

年間300例近い小児心臓手術をこなし、日本屈指の医療技術は高く評価されています。

 

ただでさえ小さな子供の心臓。当然、高度な技術が要求されます。この病院で長年、小児心臓外科に携わる、坂本喜三郎医師。

 

坂本医師は、高い医療水準は決して外科医一人の力ではなく、総合力であると言います。

 

それが、“チーム医療”です。手術室には毎回、3人の外科医。加えて、医療技師と看護師を合わせて、10人ほどのスタッフが立ち会います。

 

坂本医師は、こども病院は20数年、根を張っていて、その経験の蓄積とチームの輪が、心臓病の治療を可能にしているのではと分析しています。

 

産まれたばかりの赤ちゃんの心臓はピンポン玉位の大きさです。産まれる前の胎児の段階はこれよりさらに小さいサイズですが、すでに心臓の病気が診断できるようになっています。

 

それが、「胎児心エコー検査」です。最新の超音波画像は、0.1ミリ単位で胎児の心臓を映し出します。この検査によって、30種類以上ある心臓病の中の、どれなのかを診断。治療をいち早く始められます。

 

循環器内科の田中靖彦医師は、分娩に立ち合って、産まれてすぐに治療を始めることができ、必要があれば、緊急手術という体制を組めることが可能であると言います。

 

出産前に病名が分かることは、母親の心身にも大きなプラスになっています。富士市の北村さんも、出産2カ月前まで、病名が分からない状態で、助からない病気だったらどうしようなど考えてしまったそうです。しかし、この検査で病名が判明し、助かることがわかったので、良かったと話しています。

 

退院した今は、インターネットで、全国の患者家族と情報交換する日々です。そうした中で、さらに静岡こども病院への信頼感を強くしたといいます。

 

北村さんによりますと、産まれてから子どもの病名が分かったというお母さんや、産後の体で泣いて病院で過ごしてるというお母さんが多いそうです。出産の良い時間を過ごすことを北村さんが出来たのは、あらかじめ病名が分かっていたからだと言います。

 

そんな県立こども病院には、全国各地から患者が駆け込んできます。

 

北海道から来た、加藤之貴ちゃん1歳2カ月。この病院での手術を終えて、退院したばかりです。

 

之貴ちゃんのお母さんによりますと、手術は今まで5回やり、ここに来るまでに病院を2件変え、2カ所で手術をしたそうです。諦められないという気持ちでこども病院を受診した時に、先生達も諦めない、絶対治療するっていう思いがあり、もっと早くここに来れば良かったと話しています。

 

長年、患者と向き合ってきた坂本医師。子供が病気を克服するためには、医療の進歩と同じ位、家族の心のケアが必要だと実感しています。

 

坂本医師は、お母さんが特に精神的に打ちひしがれている状況で、治療を進める話をしないといけなくて、正確な情報を提供すると同時に、子どもが元気になれるよう努力するという気持ちをお母さんに話すようにしているそうです。

 

「子供の笑顔を守りたい。」その想いは、高度先進医療にとって、技術や設備の充実と同様に欠かせないものです。こども病院の輝かしい実績は、まさに、患者を第一に想う姿勢によって支えられていました。

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