今回は沼津市の西浦の海に浮かぶスカンジナビア号です。去年春にレストランとしての営業を終え、再び客船として航海に出る計画でしたが、いまだにその姿をとどめています。スカンジナビア号は本当に出航するのでしょうか。
スカンジナビア号は、1927年、豪華客船「ステラポラリス」としてノルウェーで建造され、純白のスマートな船体から「白い貴婦人」と呼ばれました。
1970年に引退した後は沼津市の西浦木負に錨を下ろし、海に浮かぶホテルとして第2の人生を歩み出しました。
1990年には年間5万7000人がレストランを利用しましたが、バブル崩壊後、観光客は年々減少。そして去年春、ついに35年の歴史に幕を下ろしました。
去年5月末、所有する伊豆箱根鉄道は、イギリス領バージン諸島のクルージング会社に売却すると発表。計画では、上海に運んで修理したあと、ヨーロッパでクルージング船として活躍する予定でした。
ところが、売却するとの会見から一年近くになりますが、スカンジナビア号はいまだ西浦の海に姿をとどめています。
売却の計画が遅れた理由について、伊豆箱根鉄道の高杉泰美広報係長は、スカンジナビアを移送する船が多くないことや、移送にも保険をかけなくてはいけないという問題が発生したからだと言います。
船を移送するには、係留のために海中に設置していたコンクリートの撤去も大きな問題です。
1年間の放置で、船体そのものへの影響も懸念されます。「スカンジナビア号を保存する会」の前島希久也さんに案内してもらい、近くからその姿を撮影しました。
塗装が剥げ、鋼鈑がさびて薄くなっていました。
船の現在の状況を、前島さんは見るに忍びないと言います
保存する会では、いまだ係留されている現状に、交渉が難航しているのではないかとみています。
保存する会をNPO法人化し、トラスト運動を展開することを決定しました。具体的には、私募債を発行して広く出資者を募り、2億円を集めるとしています。
スカンジナビア号のある西浦の海は、沼津市が管理しています。工作物を設置する場合、市の許可が必要です。
しかし、スカンジナビア号の占用許可は今年3月で期限を過ぎています。
沼津市水産海浜課の鈴木勝課長は、撤去が前提なため、占用とは切り離して、撤去の手続きを進めるよう様子を見ているが、長期間にわたるならば、再び占有の契約が必要になると言います。
30年以上にわたり沼津の地にとどまった白い貴婦人。この場所から第3の人生に向けて出航日は未だ定まっていません。手続きが難航しているとしても、このままでは法律に基づかない占用になりかねず、伊豆箱根鉄道はスカンジナビア号をいつまでに動かすのか、はっきりさせる必要があります。