今回は熱海市の市庁舎建て替え問題を取り上げます。大地震が来ると、危険だとして建て替え計画が進んでいましたが、突然先が見えなくなりました。一体なぜなのでしょうか。
1日に少なくとも数百人の市民や職員が出入りする、熱海市の市役所の庁舎と観光会館は震度6前後の揺れで倒壊する恐れがあるとされています。
建て替え計画と日程は2009年秋の工事完了を目標に、今年4月、3年がかりでまとまりました。
阪神淡路大震災をきっかけに実施された、耐震診断で問題が表面化し、そこから11年もかかりましたが、それはバブル崩壊後の財政難で、場所の選定や建設手法に苦しんだためです。
この計画では、事業費約40億円で、民間に建物などを造らせ、それを年間3億円以内で長期間賃貸する、リース方式を採用。
現在7棟ある庁舎群のうち、比較的安全な3棟を残し、解体した跡地に新庁舎と広場を整備します。
観光会館と図書館は別予算で分離整備することになっています。
しかし、9月の市長選挙で計画策定時の現職を破り、市政とほぼ無縁だった斉藤栄・新市長が初当選を果たすと、就任当日に予定されていた基本設計の業者選定コンペ第1次審査が急遽延期となりました。
斉藤市長の説明にブレがあり、具体的ではないため、3年余り計画策定に長く関わってきた、市議会や市民代表の反発や戸惑いを招いています。
業者を3社に絞る、第1次審査は、先月末に予定より1カ月半遅れて市役所で実施されました。
しかし、斉藤市長は11月を「新庁舎についてご意見を伺う月間」として、月末までに7回のタウンミーティングを開くことを突然発表。また論議が沸騰しました。
斉藤市長がこだわったタウンミーティングは先週、1回目が市郊外の多賀地区で開かれ、住民70人余りが出席しました。
斉藤市長は最初の挨拶で、庁舎の危険性には触れず、財政の危うさを強調。配布資料も市税と人口の減少を印象付ける内容でした。
流れを誘導する意図はなかったのでしょうが、結果として負担増を嫌ったり、活性化や少子化対策の予算の優先配分を求め、庁舎計画は先送りか、一層のコスト削減をすべきとの意見が目立ちました。
2時間近い集会の終わりに、斉藤市長が述べた感想は改めて市議会の多数派を刺激するものでした。
斉藤市長の支持者にも心配する声が挙がっています。
草の根の意見も重視する斉藤市長の熱意は認めるとしても、危険な庁舎から市民の命を守るという大枠を外し、無原則に計画の見直しを進めていくような今の手法に、納得のいく着地点があるのでしょうか。