今回は弁護士のいない街を取り上げます。なぜ弁護士の過疎化は起きるのでしょうか。
掛川市を中心とした5市町にはおよそ22万人が住んでいます。地域にいる弁護士はたった一人だけ。
しかも裁判所から30分以上はかかる菊川市嶺田にある事務所です。
裁判所のあるエリアに弁護士がいない、あるいは1人しかいない状態は「ゼロワン地域」と言われ、地域格差として一つの問題となっています。
牧野百里子弁護士は、この地域で唯一の弁護士ということで、スケジュールもびっしりです。
法律の専門家・弁護士は我々の生活に多くの関わりを持っています。
例えば、近所の住民とのトラブル、労働環境やセクハラなどの職場での悩み、離婚、遺産相続など家庭内でのトラブルなど身近なものがほとんどです。
県内には253人の弁護士が登録されています。
県民およそ380万人を割ると、1万5千人に弁護士1人の割り当てになり、22万人に1人という掛川の環境は厳しくなっています。
掛川市役所で毎月1回開かれる法律の無料相談窓口では、静岡や浜松から弁護士が出張してくるのです。
身近に相談できる弁護士がいないせいか、25人の定員はすぐに埋まってしまいます。
新幹線も停まり、この地域の中心的な存在の掛川市。需要はあるのになぜ弁護士が集まらないのでしょうか。
静岡や浜松など、都市部の裁判所の周りには弁護士事務所が集中しています。
地裁浜松支部からほど近い事務所に籍を置く高貝弁護士は、弁護士会に登録される前、実は掛川市に事務所を構える予定でした。しかしゼロワン地域に対する不安が大きく、結局は浜松の事務所に入りました。
一人で仕事や悩みを抱えるリスクが弁護士が定着しない悪循環をつくるのです。
対応が進まないゼロワン地域。関東弁護士会連合会の視察で「他の地区と比較して22万人に1人というのは少なすぎる。司法サービスが住民に行き届いていないはずだ」と厳しい指摘を受けました。
これを受けて、県弁護士会は対応に乗り出しました。
行政もこの問題には頭を悩ませています。
そこで県弁護士会はゼロワン地域に、弁護士が定着する支援制度をまとめました。
ゼロワン地域に事務所を開設した際、補助金を手当てする財政的支援に加え、仕事を処理しきれなければフォローする体制支援を盛り込みました。
市民に対する法的なサービスは幅広く提供されるべきです。新たな支援制度がゼロワン地域の解消につながるか、注目されます。