今回は、過労運転についてお伝えします。県内でも、先月末に焼津市内の運送会社の社員が、運転手に過労運転をさせていたとして逮捕されましたが、その背景には、今の格差社会が抱える問題がありました。そして、この現状が、悲劇を生みました。
今年2月、大阪府吹田市で大型観光バスが、多重事故を起こし、27人が死傷しました。運転手は18日間で1日しか休みがなく、過労状態で運転をしていました。また、去年11月には、東京都内で5人が死傷した交通事故で、焼津市内の運送会社の社員が、運転手に過労運転をさせていたとして逮捕されました。
今回は県内のトラック運転手、鈴木浩介さん(仮名)に同乗させていただき、一日のトラック運行状況について取材しました。
鈴木さんのきょうの仕事は、静岡から茨城、栃木に荷物を届け、帰りに神奈川で荷物を乗せて静岡に帰ってきます。
途中、海老名のPAで休憩を取ることにしました。取り出したのは、走行履歴を記録する用紙。10分の休憩時間を記入し、会社も勤務状態を把握できるようにします。すぐさま、鈴木さんは、出発。再びハンドルを握ります。
そして、静岡を出発してから、4時間。最初の配達先である茨城県の工場に着きました。到着してから荷降ろしの時間までに1時間、時間が空いたため、鈴木さんは、つかのまの睡眠をとります。起きた後、朝食を食べながら、新聞を読みます。朝7時、この日の休憩は、これが最後になりました。
積荷の荷降ろしも手伝い、そのまま次の目的地に向かいます。ここから3時間かけて栃木県へ。再び荷物を降ろした後、さらに4時間かけて神奈川県に戻ります。鈴木さんがこれほどの過労運転を強いられているのにはわけがあります。
実は、県内の運送業者の数やトラックの数は10年以上増え続けています。その原因の一つが、2002年の法改正といわれています。今までは決められていた営業区域の中でしか、荷物が運べませんでしたが、この改正でどの業者も、全国どこへでも運べるようになりました。また、運送用の緑ナンバーの取得が許可制から登録制になり、新規参入が容易になるなど、いわゆる規制緩和がされました。
これにより、競争が激しくなり、無理な労働をしなければならない会社も出てきたのです。
夜8時、鈴木さんは会社に戻りました。きょう、鈴木さんは、17時間で834キロを運転しました。それでも、1カ月の給料の手取りは30万円ぐらいです。
規制緩和によって広がったビジネスチャンスの影で、無理をしなければ生活をしていけない、という人たちも増えています。その結果が、私たちの安心安全を脅かすのなら、何のための規制緩和なのでしょうか。