多くの観光客に配慮し標準以上の防災・救急体制を維持してきた熱海市が定住人口に見合った規模に消防職員を減らすとの方針を打ち出しました。人件費の削減が目的ですが、安全は観光の基本とする関係者から反発が出ています。
人口およそ4万2000人の熱海市は10万人都市並みの消防力を長年確保してきました。ピーク時には市民の数を上回る観光客、別荘族の生命や財産を守るためですが、財政再建を優先する現在の市政は大幅な縮小、再編の方向に舵を切りました。
これは斉藤市長の決断で、今月8日、市行財政改革会議で、今後5年間に市職員を3分の1減らすとした上で「消防部門は人口規模に見合った組織構成に移行していく」との指針を示しました。
定住人口に見合った数とは50人から60人とされ、現在の定員95人より30人から40人も少ない計算です。
しかし国の消防力指針では旅館宿泊客などを加算して7万6000人規模に対応する職員100人前後の配置が適正とされています。これに別荘、マンションの潜在的な利用者最大2万人余りが加わります。実際に毎年2800前後と10万都市並みの救急出動があり、うち4割が市外の観光客や別荘客で占められています。現状でも消防隊と救急隊を兼務してやり繰りしており、必要最低限の水準といいます。
熱海市 鈴木 均 消防長 は今回の消防の縮小方針について次のように述べました。
また、安心、安全は観光サービスの基本とする観光関係者は消防の縮小方針に苦りきった表情です。
しかし斉藤市長は現在の熱海市の人件費比率28.6パーセントを県内の市の平均20パーセントまで落とすことが財政再建の大きな柱の一つで、消防も聖域にしないと強調します。
実は熱海市は昨年度までの10年間で一般職員を23パーセント削減しています。しかし消防部門では5カ所あった拠点を3ヵ所に統廃合しましたが、定員は100人から5パーセントの削減にとどめています。山あいに細長く広がる郊外の住民の不安が強いからです。
この件について熱海市消防団 高橋幸雄 副団長 にお話を伺いました。
先月行われた市議会議員選挙で初当選した若い議員グループも消防職員の削減に批判的です。
流入人口に伴って増える清掃・消防業務などの自治体の費用負担のあり方は観光地に共通する問題です。誘客のための基礎的な投資ともいえる消防の整備を経費節減の視点だけで見るのが本当に懸命な選択なのか、熱海市の議論が注目されます。