みなさんは「不就学児」をご存知でしょうか?小学校や中学校に通っていない在日外国人の子供たちのことです。いま、この子たちの存在が大きな問題となっているのです。
富士市にある「エスコーラフジ」。県東部唯一のブラジル人学校です。
富士をはじめ、静岡や御殿場などから80人を超える子供たちが通っています。
使う言葉も教科書もポルトガル語。ここに通えばブラジル国内の学校卒業と同じ資格が得られるので人気です。
一方で日本の学校になじめず、転校してくる生徒も目につきます。
そのような生徒たちに対し、エスコーラフジ 神尾 正和 理事長 は「ウチの学校で引き受け受けないと不就学の問題出てくる。受け皿になりたいと思っている」と話します。
この学校の3割近くが日本の学校からの転校生です。なぜ、移ってくるのか?最大の理由は言葉の壁です。
授業内容が難しくなる小学校高学年から中学生にかけて脱落するケースが多く、結果として不就学児が生まれるのです。
こういう状況が大きな事件を引き起こしました。
13、4歳の子を働かせたという不法就労事件。その多くが不就学児でした。学校という居場所を失った子供たち。もてあました親達が働くよう促したケースもあります。
県内で最も在日外国人の子供が多い浜松市。不就学児の数は調査によってまちまちで、その数は把握できていないのが現状です。
浜松市教育委員会 小粥義雄さんは現在の把握状況についてこう話します。
また、実態を把握できない原因は思わぬところにあるのです。
静岡文化芸術大学 イシカワ・エウニセ・アケミ 准教授は「把握できないのは(政府が)外国人が小中学校に在籍していなくても問題ない。日本の学校に行ってないならブラジル人学校に行っているだろうと推測するしかないので」と話します。
子供たちの大量流入が始まったのは1990年の入管法改正からです。
当初は多くが出稼ぎでしたが、近年では定住化が急速に増加。その結果、子供たちの数がわずか15年で4倍近くにも膨れ上がったのです。
浜松の場合は教育支援事業計画をつくり、きめ細かな対策を取ろうとしました。
その1つが就学サポーター。ポルトガル語などを話せる人を 外国人の子供が多く通う45校を巡回します。
授業中は子供に寄り添い勉強のフォローをするほか、親の相談にも乗ることもあるといいます。
サポーターを務める宮川さんも日系人。来日当初この制度はなく、悩んでいる母親や妹の姿を見てきました。
ただ、浜松のようにきめ細かな対策ができる自治体は全国でもわずかなのです。
浜松市教育委員会 小粥義雄さん、静岡文化芸術大学 イシカワ・エウニセ・アケミ 准教授らも不就学児が増加していることに関して日本全体の問題として捉えるべきだと話します。
もはや地方や民間の努力だけでは限界に追い込まれた不就学児問題。しかし、こどもたちの教育を受ける権利を誰にも奪うことはできません。教育改革が叫ばれるいまこそ、政府をはじめ国全体がこの問題と真剣に向き合わなくてはいけません。