1月28日の放送では、「気象観測所のすぐ横に13階建てマンション!?」という問題をとりあげました。
静岡地方気象台では、県内に6カ所の観測地点を持っていますが、そのひとつが三島市東本町にある無人観測所です。
ここでは、気温、気圧、雨量、風速など、9つの項目を観測しています。そのデータは、静岡市駿河区にある気象台に送られ、天気予報や気象情報などに使われています。この観測は75年以上にわたって続けられてきました。私たちが天気予報などで目にする最高気温などのデータは、ここで観測しているものです。
そのすぐ横に、いま、13階建てのマンションが建てられるという計画がすすめられています。この空き地は、もともと気象台の官舎などが建っていた場所ですが、無人化されて不要になったので、財務省が売りに出したのでした。
実際、すぐ横に13階建てマンションが建ったとしたら、観測はできるのでしょうか?
気象台によれば、少なくとも、風向・風速の観測と、日照時間の観測に支障をきたすそうです。このふたつは高いポールを使って観測されていますが、13階建ての建物では、やはり影響を受けてしまうのです。
付近の住民は市役所にマンション建設をやめさせてほしいと要望しましたが、市側は「気持ちはわかりますが」としながらも、住民にはっきりとした答えは示せませんでした。そもそも、建設をやめさせるような権限は市にはないのです。
市では、観測できなくなる風と日照について、観測のポールを設置する代替地を用意するつもりだと表明しました。このふたつがすぐ近くに移動するだけですめば、「三島」の観測所はそのまま続けることができるからです。
ただ、あくまで「建設反対」を訴える住民との間には温度差もありました。
実は、三島の観測所が無人となる際に、市では旧測候所の建物を買い上げています。現在の無人観測所のすぐ横にあるこの建物は、国の文化財にも登録されました。
この時、建物の保存運動を展開したNPOでは、今回のマンション計画にはっきりと「反対」だと言います。
旧測候所と、実際の観測とは一体のものであり、一部が移転すれば、それは全体の移転につながり、天気予報から「三島」の地名が消えることにもつながりかねない…、とNPOでは危惧します。近く、折り込みの広告で市民にこの問題を訴える予定です。
マンションを建設するのは広島の業者ですが、住民の質問や、SBSの取材に対して、「法律的には何の問題もなく、土地を財務省から買う時にも、使用法については特になんの規制も条件もなかった」と話しています。確かに、ここにマンションを建てること自体は、別に違法ではありません。同じ業者が諏訪にマンションを建てた時に、近くにあった観測所が移動したという実績もあるそうです。
業者は「住民との話し合いはつづけたい」としていますが、今のところマンション計画を見直すつもりはないようです。
そもそもは気象庁の土地だったところを、財務省が売りに出した…役所が違うとはいえ、「国」として、観測をまもるような工夫はできなかったのか。住民の中には国に対して苛立ちの声をあげる人もいます。
住民や、NPOからの反対の声は簡単にはおさまりそうにありませんが、マンションは今年8月から建設され、15ヶ月後に完成する予定です。