原油高や資源価格の高騰で、リサイクルの重要性が高まるなか、ごみの分別回収の先進地とされる沼津市で、ごみ回収現場に異変が起きています。容器包装リサイクル法に関する問題を取材しました。
こちらは沼津市のメインストリートですが、このように、赤い警告シールが張られたゴミ袋が、残されたままになっています。よくみると分別できませんと書かれています。
この日は、プラスチック容器包装の回収日です。現場で何が起きているのでしょうか。
収集場所には、かなりのごみが残りました。
収集員に理由をきいてみると
「こういうの、だめなんですよね。汚れとか、歯ブラシとか…」「最初は本当にすごかった。1時期は530枚とか(警告シールを)張ってた」と話します。
沼津市では5年前から、容器包装リサイクル法に基づき、プラスチック製容器包装の分別収集をしています。このリサイクル法では、収集したプラスチックを指定の協会に引き取ってもらうのですが、それには収集したプラスチックの90%以上が再利用可能な品質でなければなりません。
沼津市はこれまで、収集したプラスチックの95%以上が再利用可能だとされ、Aランクの評価を受けていました。しかし、去年3月の検査では、正しい分別比率が77%にまで落ち込み、このままでは2008年度の引き取りはできないと通告されてしまったのです。
沼津市ごみ対策推進課 鈴木勝課長に伺ったところ、「日本容器包装リサイクル協会で行われる検査がひとつ、厳しくなっている。また、沼津市が平成15年に開始してから時間がたっている。(マナーの悪化)それらが総じてのことだと思います」と話します。
プラスチック容器回収の問題点は、分別の難しさにあります。まず、こちらの菓子の袋や、カップめんや、マヨネーズの容器といったものは、きれいなものが回収の対象です。
しかし、洗剤の計量スプーンや、荷造りに使うPPバンドは、同じプラスチックでも容器包装ではないため、対象外です。
こちらのコンビニでもらったスプーンだと、ビニールは回収されても、スプーン本体は容器包装でないので、だめなのです。
こちらは対象外のものです。リサイクル費用を事業者が負担しているプラスチックしか回収対象にならないのです。特にカミソリやライターなどの危険物は絶対にだめです。
一般家庭では、厳格な分別の対応に苦労しています。
このまま、3月いっぱいで引取りを拒否されてしまったら、どうなるのでしょうか。現在、回収されたプラスチック容器は、市の中間処理施設に集められ、不純物が取り除かれた後、プラスチックの塊にされます。
この後、リサイクル協会を通して、再商品化事業者に引き渡されます。ここから先のリサイクル費用は97%が、容器包装を使った商品の製造販売事業者の負担です。自治体の負担はほとんどありません。
しかし、協会に受け入れられず、沼津市が独自で処理を委託したとすると、年間2億円、ごみ処理費用が増加する恐れが出ています。
このため沼津市では、市民の理解が十分ではなかったとの反省から、地区説明会を開くなど、分別の向上対策に乗り出しました。
説明会に参加した市民たちは
「今までは何でも(プラ製品なら)入れればいいと思って入れてたけど、(収集所に)置いていかれるからなんでだろうって、みんな疑問に思ってた」「全然分からなくて、間違えて出してたのもいろいろあった」「難しいですけど、頑張って分別していきたい」
と話しました。
また、市は今月、処理施設に新たにゴミ袋を破る機械を導入し、手選別をする人員を増やすなど、施設の改善策も実施しますが、契約期限の年度末まで、残された時間はわずかです。
沼津市では来月までに分別状況を改善し、4月以降も現状のリサイクルを継続したい考えですが、厳しい状況です。現行の制度の下では、行政は粘り強く説明を続け、市民の理解を深めるしかありません。