今回は去年11月、浜松市役所前で体調を悪化させ、まもなく死亡したある路上生活者の死を考えます。市の職員が周りにいてどんな対応がとられたのか、改めて検証します。
先月29日、浜松市で、貧困に苦しむ人の問題を考える講演会が開かれました。この中で去年11月のある女性の死が取り上げられました。
去年11月22日、浜松駅そばの地下街で、70歳の路上生活者の女性が衰弱しているのを、警察官が見つけ、救急車を呼びました。
女性は救急隊員に4日間食事をしていないと訴え、心拍などバイタル測定値にもその時は問題がありませんでした。
救急隊は、市の福祉関係の部署に対応してもらうため、女性を市役所で下ろしました。女性は救急車からは自力で降りましたが、花壇に腰を下ろし、やがて横たわったといいます。
浜松市で路上生活者の支援をしている四ツ谷さんは、このおよそ1時間後、そこへ通りかかかりました。
四ツ谷さんの話によると市の職員が5,6人いて、足の間から誰かが倒れているのが見えたと言います。
この間、市がどう対応していたのか、市がこの問題についてまとめた報告書によると、次の通りです。
”救急車到着後、市の社会福祉課は救急隊から、バイタル測定値に異常がないことを聞きました。しかし4日間食事をしていないということは伝わりませんでした。”
職員は非常用のレトルトのご飯を「これを置いていきますよ」と女性に渡し、部屋に戻りました。この非常食はお湯や水で戻してから食べるものです。この後は守衛がそばにいて、女性の求めに応じて水や白湯をあげたり、通りかかった他の職員も含め「大丈夫か」「冷えるからこんな所に寝ていては良くない」と何度となく声かけをしました。
四ツ谷さんは
「温かい庁舎内に運んでくれなかった。脈なども診ていて欲しかった。」
と話します。
その間、守衛や職員には、女性の生死に関わるような様子には見えなかったといいますが、およそ50分後に社会福祉課の職員などが様子を見に戻ると、女性は顔色が悪く、救急車を呼ぶか、数分相談しているところに、四ツ谷さんが通りかかったということです。
四ツ谷さんに市が急に容体が悪化したと結論づけていることを告げると、
「私が来た時、急に容体が悪化したというのか?」
と語ります。
この間に社会福祉課は、別の課と養護老人ホームに短期入所できないか検討もしていましたが、結局不調に終わりました。
また報告書によると、救急車を呼ぶと庁舎に入った職員は他の職員を探したりしていて、結局、救急車を呼んだのは15分後となっています。
そして、翌日未明に女性は急性心不全により死亡しました。
シンポジウムを開いたのは、大学教授や司法書士、弁護士などの有志で、女性が亡くなったことについて、市の対応に疑問を持っています。
現場に居た四ツ谷さんも
「女性の容体に心を寄せてくれる人がいなかった・・・。」
この点について、浜松市に取材を申し込みましたが、市は応じないと回答しました。
しかし市は報告書の中で組織としては、留意すべき点もあったと認めていて、常日頃から路上生活者の体調など情報収集に努めるといった今後の対応を検討しています。
規定、ルールに問題がないとするなら、結果を変えうるのは、職員のモラルや認識しかありません。
そして市に何も変えるところがないとすれば、万一同様のことが起きた時、結果も同じになります。